痩せた海/金井省悟
 
夕暮に

放射線が

ジグザグに

切り付けにやってくるんだ




赤いビル

灰色カビた

臭いのする

壁、壁が息苦しいな




それが頭重くして

それが目玉重くして

でも手もつけなくて

靴もぼろぼろで




おいらの中の魚は逃げた

でも塩水はおいらのもので

いつまでも流れてるつもりだった

つもりだった




あることすべて!

言葉ごと!

臭く白けた波に!

溶けてった!




ああ、俺を見てくれよ

痩せっぽちな海!

何か言えよ





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