大気頌/Giton
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わたしがそこから生まれた大気圏よ
雨よ 雲よ
いつもわたしを天蓋のように包む
大いなる父よ 母よ
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わずか十分の一、ニ度体温が上がっただけで
世界中の人間がやきもきする
気まぐれなエンゼル 感じやすき少年
気高き女王よ
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容赦なき宇宙の嵐に身を曝し
大小の渦従え
いつも激しく逆巻いている
巨大な流転の世界よ
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いつかわたしがそこへ還って行く美しき散逸の岸辺
深く透明な宇宙の闇の底
コロナは注ぎ オーロラ揺らめき 雲冠崩れてほとばしる
舞い上がる氷片 蒼白き炎 神の橋梁は七色
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