夢の話/プル式
 
いつばれるとも知れない、誰かが知っているのでは無いかという疑心が心を蝕んでいく。
そんなある日、軍隊の健康診断を受けた彼は、レントゲン写真の中で、自分しか判らない様な小さな異変に気付く。それは「賎民の証」と言われる、胸に小さな出来ものの元だった。それは小さな伝染病で、特に害のある物ではない。しかし、母から子へ、確実に伝染する病で、一緒にくらしている家族しか発症しない『印』なのだ。その兆候を見つけてしまった彼は「ついに隠しきれなくなるかも知れない」と思い悩む。
悩み疲れた彼は、ふと立ち寄った高級劇場で、賎民の給仕の少年と出会う。少年は現状にめげず、希望をその目に持っている。少年は彼の飲むワインを
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