夢の話/プル式
コンクリートで覆われ、所々にある鉄線入りの窓と柵、窓のある壁の高さは一階ほどの高さで、閉じた空間に、有刺鉄線の青空だけが広い。自分もここで何人も殺したのだと、自分の中で自分が攻める。
ふと窓があき、昔の戦友が声を掛ける。「まだ時間がある。最後に欲しい物は無いか」しかし、彼は何も思いつかず、ただ「何も」と答えるのが精一杯だった。そして、別の戦友(女)が顔を出し「タケシの物語」を手にれたんだ。見ないか」という。
刑場の中ブラウン管に映し出された『タケシの物語』を並んで見る二人。
次の瞬間、少年の頭が吹き飛び、ブラウン管の半分が血で赤く染まる。彼はそのまま、泣きながら映画を見続けている。
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