結婚詐欺/ふくだわらまんじゅうろう
純な回答をなし得るだろう。
私はむしろ、結婚はすべて詐欺であるべきだと主張する。
私は君を騙し、君は私を騙すだろう。君はその女を騙し、女は君を騙すだろう。騙し騙される虚実の最中で、それはあたかも陰茎が膣門の参道を何度も何度も往き来するように、男の直線運動が女の螺旋運動を誘発して、原子力発電機でさえも起こし得ないほどの官能的エネルギーの坩堝で、騙している君が騙され、騙されている女が騙し、上になっているのか下になっているのか、はたまた前になっているのか後ろになっているのか、さらには男になっているのか女になっているのか、君が私なのか私が君なのか、天が地で地が天なのか、中が外で外が中なのか、すべての境界面がわからなくなる。
そして騙されることさえも受け入れてしまうという愚の境地に佇むとき君は、君がほんとうに愛する存在を目の当たりにすることになるのだろう。そうであると信じることこそが、騙し騙される地平の向こうにあるはずの彼岸なのではないだろうか。
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