カプラ/梶谷あや子
 
わだかまった余暇を
黄色く塗りつぶすためには
簡単にふた月を越した
小さな穴が必要なんだ、
僕には
狭いくらいじゃなきゃ
頭がはみ出す瞬間が怖くて
この目には
光も風も証明にはならないんだ

冬の初めの
不思議な世界
なんの匂いもしない
うそみたいに
一欠けらの肉も残らないような気分になる
でも気分だけ
鼻にものどにも
石を詰め込まれたみたい
で人はほんとう
ごつごつしている

ね、
アコースティックなときだけ
僕に話しかけている
だなんて
おかしいと思うんだよ
出し入れするものだってないから
口のあたりをうろうろするだけ
みんながいつ息継ぎしているかなんて
分かるわけないだろう

さあ押さえてないほうがいい
押さえてないとだめだけど
どうせやり過ごしてしまうからさ
僕にはもう資格がない
だけど君のために
小さな穴をあけてる

広がったのかな




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