川/都志雄
 
闇の底からあふれ出た泉が
幾千万もの星々になったのなら
夜の奥底からも
わき出でる無数の声が聞こえるだろう


僕らの血と肉で記す物語が
永遠の織りなす円環の一部なら
君の瞳を愛する
名も無き歌があってもいい


君 走れ
走れよ君

こうもり傘を投げ捨てて
長い長い川を下れよ

君 跳べよ
跳べよ君

僕らの祈りは空になる
僕らの灰は海に散れ

やがて僕らは知る
水底に光る無数の玉を

いつか回帰する魂が
僕らとともにあったことを



君 行けよ 
もう行けよ君
振り返らずに
構わずに

太陽を抱きしめるみたいに
長い長い川を下れよ
虹に昇るみたいに
青い青い海へ下れよ



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