シンスキーの世界、その後/テシノ
 
という表現が面白いと思った。夏の湿気が抜けた秋の空気のようだ。
そっちはどうだい?と控えめに質問された。
だが私の虫は、その頃まだギッチギチに生きていた。
むしろ夏の最中よりもエネルギッシュに動いていたのだ。

私も何度か動物を看取った事はあり、死ぬ直前に一瞬だけ元気になる、なんて経験もしている。
生命の最後の輝きなんですかねぇと私は言ったが、恐らくそうでない事はわかっていた。
奴は生き物としての役目を終えていないのだ。
簡単に言えば、生殖の相手を探しているのだ。虫カゴの中で。
長生きしてるなぁ、大事に飼ってくれて有難う、と彼は言ってくれた。

もう11月になる。
かなり動
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