空だけが僕と君をつなぐ/奈々
家を出て
知らない町にやって来た
秋の雲はうすっぺらなんだと
空気の軽さに
気が付いた
やっと
上を見ることが出来たんだ
さようなら
ありがとう
あなたと過ごした季節は
夢のようでいて
やっぱり
夢の途中で終わりを告げて
だからこそ
曖昧な記憶の断片に
執着してしまう
弱い自分が
壊れた人形のように
転がっていた
何処を見ても辛いだけの
そんな町から
やっと
逃げ出す事が出来たんだ
さようなら
ありがとう
僕は何度でも
君を思い返す
波のように
退いては寄せて
月のように
満ちては欠けて
季節のように
想いは巡
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)