「波の声をきいて」(13)/月乃助
 
「そっか。そうだね。見つかっちゃったんだ」
 サッカーの練習から帰ってきたHiromiは、Sayoの話を聞くとそれだけ口にしPenneの頭をなでていた。
 Sayoは大きな旅行用のバッグを持ってくると、サイズを測り、それにPenneが入れられるのを確認していた。二人で運べば、そんなに大変ではないはず。海峡のある側の海岸線までは、歩いて15分くらいだった。Sayoは、この町に移っても臭いが嫌いで車を持つことがなかった。入り江にある港はやはり同じほどの距離だが、そこはボートの行き来が頻繁にあるし、まして、フェリーのような大型船も入ってくるので、そちらには連れて行かれない。万が一、Penneが戻って
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