ハーメルの笛/こめ
 
残り少ない飴を手に取り

それを口の中に運んだ

昔々の魔法が使えた頃の日々は

それはそれは楽しそうだな

軽快なケルト音楽に合わせて

何処までも蒼い草原を杖片手に歩いた

結婚は後悔が強いか幸せが強いか

もしあなたと結婚したのならば

僕は幸せを突き通す事が出来るだろうか

それとも後悔してしまうのか

まあそれは霧がかかった未来のこと

今は君が横にいるだけで良かった

いつかは散る命それは人間にとって当たり前なこと

当たり前なことだといいきかせる

水面は揺れて月をなびかせる

ハーメルの笛を吹いて世界を周り歩いた

行き場などないそれは当然

子供達はそんな先に待ち構えているものが

絶望だとは知らずに

一人また一人と数を増やす

愉快な音は笑う三日月の下で

踊りながら子供達の耳に飛込む

そして今日も三日月の晩

鮮やかな笛を持つ少年は

ゆっくりと笛に口を当てた


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