いる/蒼木りん
さびしい仔猫が眠る部屋
国道が近いから
救急車が何度も通る
そんな音のない時間や
一日がない
もしや
そんな日があるとすれば
耳を済ましてしまうかも知れない
わたしが生きている時間と同じ
生きている誰かを求めて
通信は
こころを暖めるものであって
身体を温めるのとは別の
目に見えない必要なこと
ゆめのようなこと
さびしい仔猫とわたしが眠る部屋
愛が欲しくて
いつも見ていて欲しいから
醜い言葉を酷使する人
心地よい言葉を駆使する人
目を背ける耳を塞ぐ
いづれひとりで生きるんだよと
教えてくれた
半生で見てきたもの
いつまでも傍に
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