歌/新守山ダダマ
歌になりたかった
いつでも人を元気づけるような
歌として生まれたかった
そして人に口ずさまれたかった
人の楽しみでありたかった
人の希望でありたかった
そしたら苦しみも絶望も知らなくて済むから
歌になんかなれっこない
人は鳥にはなれないように歌にもなれっこない
僕は大切なあの人を元気づけたかった
でも自分にも元気がなかったから 説得力なかったから
歌だったらよかったのにと思った
あの人に口ずさまれる歌に嫉妬した
何故僕は、人として生まれてしまったのか
でも、歌は人だった
歌には血が流れていた
どんなに明るい歌も
苦しみや絶望をくぐり抜けて、歌になった
歌は悲しみを知っているから、歌になれた
そして人を元気づけることができた
そして人はまた新たな歌を生み出す
僕はやはり歌になろう
僕の苦しみも悲しみも絶望もみんな連れて
一緒に歌に飛び込もう
そして僕はますます人になるんだ
説得力とはリアリティのことじゃない
気持ちの強さだ 生きる気持ち愛する気持ちの強さだ
あの人に口ずさまれる 人になろう
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