夢国記/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
すがそれなら仕方がないですねというようなことを言いながら応じ、こういうわけなので金はいらないと言ったが、返してくれた。店を出て踏み切りの方を見ると、まだ処理が終わってないようで、足止めをくらった自動車の列が長たらしく続き、人だかりは勢いを増して山の風景を作っていた。
 日常ではなかった。
 夢の国が、現れたのだ。
 醒めてほしかった。足を早め家路を急いだ。

 ふと気づくと、後ろからの怒鳴り声とともに映像が戻ってきた。警報はやんでいた。怒鳴り声の主に謝意を示して歩き出すと、日本語ではないような日本語使いの声はどこかに消えていた。
 早く風呂に入りたい。そう思った。
 
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