「波の声をきいて」(8)/月乃助
リビング・ルームのテーブルには、油まみれの四角いカード・ボードに、ピザが二かけらだけ残り、もう白いチーズを固くしいびつな三角を見せていた。
Hiromiはウォーフでの母親の話を聞くと、そんなことかと、もっと違ったことでも考えていたようで、それはきっと港の観光客用のアトラクションにある小さな水族館からアザラシを盗んできたと、そんなことだったのかもしれない。そこでは、おおきな蛸を見せたり、ダイバーが魚に餌付けをするショウをするところで、小さな水槽にたくさんのアザラシ達が飼われていた。
「もう少し元気になったら、調子をきいてみるよ。何か分かるかもね」
「そう、だったらお願いね。多分、食べるのは
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