「波の声をきいて」(6)/月乃助
 
 ためらうことなく男達の目の前で白いブラウスを脱いだ。白いブラジャーのほっそりとした体に陽がいっそう白く肌に弾けた。
 そして膝をおとすと、すぐにそのブラウスをアザラシに着せ始めた。
「スカートもぬいだら、どうだいねえさん」
 男達はそんなSayoのようすをひじを突きあい、楽しむように下卑な笑いをあげて見ている。
 ブラウスのすそを縛って袋にし、両方の袖を結んでそこに自分の体を滑り込ませ、アザラシをぐっと背に持ち上げた、さすがに重いしヒールの高さが邪魔になるが、どうにか歩けそうだった。腕を後ろに回し赤子を背にするようにすると、少し安定感があった。アザラシが動く元気もないのが、今はありがたい
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