カレーライス/奈々
母の姉が倒れたとかで
今日は父と二人だけだった
いつもと変わらず
朝に放浪の為に家を出る
私にとってこの家は
苦しいだけの場所なのだ
だからと言って
外に安らげる所もなく
時間だけが遅く流れていく
夕方家に戻る
カレーの匂いがした
初めてだった
父が私に何かを作ってくれた事が
父と二人だけで食事をした事が
おいしかった
久しぶりにそう思った
毎日が砂の様な食事だった
いつも無口な父が
暖かな言葉をカレーにした
そんな味だった
多分
最初で最後
私は今月中に家を出る
もう
戻らない
ごめん
お父さん
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