「波の声をきいて」(3)/月乃助
げな子猫のように丸くなって眠っていた。
Sayoは裸のまま、窓からの光の横で、自分の娘が眠る姿を声を掛けずに見つめていた。
自分のやろうとしていることが、何かつまらないことのように少し思えた。
Sayoは、204のテーブルにチェックを持って行くと、笑顔をつくってありがとうございました、と言いながら、今度はできるだけ母親を見ないようにそれをテーブルの端に置いた。それは、アジアの奥ゆかしさを湛えた笑みと、Sayoは思っている。若さで押し切る年ではないので、他の方法を考えたら、そこに行き着いただけだった。少なくとも半分は、東アジアの行った事もないニホンという国の血が流れていた。
ジョディ
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