「波の声をきいて」(3)/月乃助
ディーとセーラの二人は、もう夜のテーブルのセットの準備をし始めていた。
デミタス・カップほどのキャンドルをトレーに並べ、ユーテンシルを紫のナフキンで巻いたものを作っている。それを見ながら、Sayoは、娘のHiromiは、今日何をすると言っていたか?それを思い出そうとしていた。
夏休み、サッカーの練習をすると言っていたような気がした、が。
それが不確かで、出かける時のHiromiを思い出してみた。
まっすぐの黒髪は、Sayoのそれなのに、目も口も父親の優しく弧を描くもので、この頃もっと父親の容貌に似てきているような娘の姿が現れて消えた。
(つづく)
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