月の子守唄/夏嶋 真子
 

{引用=眠れよい子よ
月がほしいと泣く君よ
闇夜の空に手を伸ばし
きつくきつく握っても
月はその手をすり抜けて
君の心を絞めつける。
ほしいほしいと泣けば泣くほど
月は君を支配して
君は夜にうずもれる。


眠れよい子よ
月が遠いと泣く君よ
ふわりひらいたあの花に
降りた夜露をごらんなさい。
花の雫のひとつにも
月が宿っているでしょう。
花は黙って咲くだけで
月を手にしているのです。
君を手にしているのです。


眠れよい子よ
花がほしいと泣く君よ
花をつんではなりません。
つめばたちまち花達に
君の心は囚われる。
そっとそっと手をひらき
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