「あざらしの島」(3/3)/月乃助
 
娘は娘で、やはりそんな母親の影響か教育のもと、元気に何事にもとらわれないそんなおおらかな子に育っていた。やたら頭が良く、勉強などしなくても成績もよく、クラスの担任の若い娘のような先生は、クラスをスキップするように言うのに、娘はただ同じクラスにとどまりたいというのは、クラスにサッカーの上手な好きな子がいるのだと、母親はサッカーを練習する娘の中に不純な理由か、恋の萌芽のようなものを発見していた。
 波の音を聞きながら、わずかに平たい乾いた苔の上で、娘はリフティングの練習に時間を費やした。
 ボールが海に落ちれば取りに行くのは、娘なのだから、最初はなんどもそんなことをやっていたのに、今では、それもな
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