「あざらしの島」(2/3)/月乃助
 
それは、いつまでもおこらないのだった。
 女は、きっとそれは男のしている指輪のせいだろうと思っていた。そして、他に女の相手をしてくれそうな者もこの島にはいないので、アザラシやアシカと交わることを考えては、それで間違ってどんな子どもが生まれるのかと、やはりありそうもないと思いながらも、まじめにためらっている自分を知り、苦笑したりした。
 ただ、体の芯の炎が鎮まらないと、本当にそんなことをしそうで、きっと自分の何代も前の先祖がそんな禁忌を犯して、それで女の血に続いているように思え、何か自分のありようの説明がされたように、ほっとしたりするのだった。
 それならば、きっと、娘も同じ血があるかもしれないのに、悪いことにはただ、遺伝など世代をスキップするものだと、勝手にもっともらしいことを思っていた。

(つづく)
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