眠ることのない恋の街のなかで/りゅうのあくび
 
すくらんぶる交差点の信号機は
恋をする瞳の奥みたいに
ふと止まるときがある
いつか愛の記憶を出発する
終電を逃して
おしゃべりをしながら
取り残された恋人たちは
再びくちづけをする

何かの真実みたいな嘘が
眠ることもない街には
時には欲望の影として
現れてはすぐに
びるでぃんぐに吸い込まれていく
人々の靴音は
明るい夜空の下で
乾いては水分をほしがりながら

真昼の太陽が
青空につるされた
電球みたいに
すっかりと消えた跡がある
まなざしの前にある小さな秋に
強く明滅していた
ねおんさいんに
極北に住む人々でも
この街の遠くからも耀く夜空を
白夜のひかりと
間違えるかもしれない

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