夢/夏嶋 真子
{引用=純
粋世
界の君
が笑う9ヶ
月前にこの
夢ははじまっ
た、はずの夢
*
はじまったもの達
のはじまらなかった
”名前”をひとつずつ
乾いた舌先で声にうつし
て消し去る作業を永遠と繰
り返す、繰り返した、はずの夢
*
くりかえす、くりかえした、かごめ
かごめ、 ”うしろのしょうめん”で
わらう君のうしろで微笑する母親の白い
小指の赤い糸を巻き取って、”かごのなか
のとりの”へその緒へと結びつけた君が、”い
ついつでやる”と唄えば鳥は卵を不在に孵してし
まったから無垢なる胎児を産み落としその鮮血の邪
悪さが確かにわたしでありわたしであった、はずの夢
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