ぜんぶあげるよ/ゆえづ
んと垂れ下がる。私にひしとしがみつきながらイエネコははっきりと見た。まんまるい目をぱちくりとさせ、それを。イエネコはちょっとずつイエネコになる。私もちょっとずつ私になる。
イエネコは私の吐息、私の指使い、私の動作一つ一つを逃さない。いのちの感触は、乗っかった太股の上で不思議なダンスとなる。イエネコのむすんでひらいて、むすんでひらいて、ただひたすらに生を表現する肉球は温もりを探っているようだ。私の肌を掴んだり引っ張ったりしながら、イエネコがイエネコであることを確かめているようだ。
「全部あげるよ」
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