藍色/しべ
石材屋の看板が光る
とぎ汁を固めたような色だ
熱帯魚みたいにきれいで
とても暗い
郵便受が口を閉ざす
瑞々しく歪んだ切り口
手のひらを右に傾けたら
パンクの修理に屈む男の背が
昔の冷蔵庫の中みたいにつるつるした影を纏って
精を出す
次は
南東に昆虫のようなセスナの音
遠い とても遠い
T字の突き当たりは
街路灯とボスの自販機
ビーン…と小さく
いま、埃がサラサラ焦げて灯りがついた
道は靴底の音を拾ってしまう
海のような曇った日に
錆で描かれた小雨が
鳥の囀りを産む
軋む空を連れて無言になる
暮れなずむ事なく手招きする気もない
格子戸の中で人が揺らめけば
怖くなって小走りに
夜だ
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