チョコレートフレイバー/鈴木陽一レモン
黒猫は
三日月の
欠けた部分を
見つけてしまった
その日から
黒猫は
黒猫では
なくなった
気がする
自分で
はっきりと
感じる
紀元前 紀元後
くらいな 違い
大きな違い が
感じられるんだ
黒猫には。
満月を、食べちゃった。
月光が、影を隠しちゃった。
「やだ… 汚れのない愛って…?」
三日月の
欠けた部分を
見つけてしまった
隠して、しまった
その日から、黒猫は
黒猫ではなくなったんだろうな
存在の猫
救いの灯りは
いくらでもあるのだ
たとえば
工場(こうば)の
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