古代魚のうろこ/月乃助
って言う****がこわかった 【LOVER】
だから 正視できずに
かたまっていました
にげるように
化石になったあたしは、とうのむかしに
泳ぎはじめていたのです
生まれてから
どれほどの年月がたったのかしら
確かに、何万年も前に孵化し
その姿を変えずに生きてきたはず
コーヒー・カップについた紅のいろだけが
暗証番号さながら それを
差し出してくるのです
無器用では いけませんか
必要もない小銭だらけの
巨きな魚は【¢】
ずっと それをうろこにまとい
時あるごとに
かたびらを着た古代魚のように
おもそうに 泳ぎ去ってきた
そして、これからも
ありえるのです
まだこの先を
生き抜くため
― カチり カ チャリ 【♪♪】
カフェのテーブルに
うろこのヒレから投げ出された
チップは、ありあまる硬貨に
それを知ってかすこし あざけり
わらうように
光をそこに
あつめていた
}
戻る 編 削 Point(9)