古代魚のうろこ/月乃助
 
って言う****がこわかった 【LOVER】
 だから 正視できずに
 かたまっていました 

にげるように
化石になったあたしは、とうのむかしに
泳ぎはじめていたのです

 生まれてから
 どれほどの年月がたったのかしら
 確かに、何万年も前に孵化し
 その姿を変えずに生きてきたはず
 コーヒー・カップについた紅のいろだけが
 暗証番号さながら それを
 差し出してくるのです

無器用では いけませんか
必要もない小銭だらけの
巨きな魚は【¢】
ずっと それをうろこにまとい
時あるごとに
かたびらを着た古代魚のように
おもそうに 泳ぎ去ってきた
そして、これからも
ありえるのです
まだこの先を
生き抜くため 

― カチり カ チャリ 【♪♪】

カフェのテーブルに
  うろこのヒレから投げ出された
 チップは、ありあまる硬貨に
   それを知ってかすこし あざけり
  わらうように
   光をそこに 
あつめていた










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