October hill/神無月/月乃助
むかしより
神たちのいなくなったこの月
代わりに、あたしの願いに
すこしも蔑まず
耳をかしてくれるのか、
神のようにあかしをみせるのか
教会でなければなおさら
だれもが、平気に歩き過ぎるのに
願いを首にぶらさげて
あたしは、たちすくんでいる
音を立てる
実生はおまえの受精子
気にもせず
トクン、トクン ○●○●
秋の径(みち)にいたいほどの
次の世への鼓動を響かせ、
車の音にも人の姿にも
ただ、揚々
わずかにかしぐ がっしりとした体から
丘の上 威厳に具眼をのぞかせ
昔、孤児院だった煉瓦の
いまはシニアー・ハウスが
ぽつんと、おまえに
よりかかるように話しかけている
みじかい 人の生きる様を見つめては、
ため息をおとし、願いを聞いてくれる
旧い街の 巨きな木よ、
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