フレンチトースト/百瀬朝子
 
初秋の風が吹くころ
フレンチトーストが食べたくなる
あたたかいカフェオレをともにして
愛しい人を想い描きながら

サクッ ふわっ しっとり甘い
フォークを持つ大きな手 あなた

卵と牛乳を溶いて
砂糖を加え、かき混ぜる
淡い黄色の液体に
六枚切りの厚めの食パンを浸す
食パンは乾いていて、
液体をみるみる吸収して重たくなる
もっともっと吸わせたい あたしは
菜箸で食パンを沈めてやる

フライパンにバターを落とし
コンロの火をつける
バターがゆっくり溶けだして
充分にあたたまったところに
浸した食パンを いざ!
ジュジュ
[次のページ]
戻る   Point(6)