フレンチトースト/百瀬朝子
初秋の風が吹くころ
フレンチトーストが食べたくなる
あたたかいカフェオレをともにして
愛しい人を想い描きながら
サクッ ふわっ しっとり甘い
フォークを持つ大きな手 あなた
卵と牛乳を溶いて
砂糖を加え、かき混ぜる
淡い黄色の液体に
六枚切りの厚めの食パンを浸す
食パンは乾いていて、
液体をみるみる吸収して重たくなる
もっともっと吸わせたい あたしは
菜箸で食パンを沈めてやる
フライパンにバターを落とし
コンロの火をつける
バターがゆっくり溶けだして
充分にあたたまったところに
浸した食パンを いざ!
ジュジュ
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