One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
 

「でしょ」
「あ、もしかして男と住んでるとか?」
「今あんたと電話してるやろ。おったらするか」
「えー。おもんないなー」
「うーん。ほんなら、廊下で会おうよ!」
「は!?」
「廊下廊下。今から廊下出るから、君もこっちに歩いてきてよ」
「わけわからん」
「ほなやめ」
「よっしゃ。ほなそろそろ家出るでぇ」
「ちょー待って、あたしも出る!」
廊下に出たけど、向こうのドアの音は全然聞こえんかった。あれ、と思ったけど、この階の反対側に向かうことにした。電話を切ろうって話になって電話を切って歩いた。
このマンションはなんか結構年季が入ってて、中の作りも変な形になってる。マンション自体
[次のページ]
戻る   Point(2)