無花果/
橘祐介
絹のすれる音が、ひとひら
二枚、三枚と
声にならない音をたてて
深い闇に落ちていく
夕と夜の間に
音もなくまぎれこみ
ひとひら、ひとひら
落ちていく
闇が全てを覆った時
その、絹のような音に
溶けるように捕られた
もう、逃げれない
剥き出しの甘い芳香に
体と心は縛られる
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