入賞トロフィー/モチヅキゼロ
 
ついた絵具をたらして、徐々に赤く染まるように、じわじわと思い始めた。
嫉妬、
君は過去になんの執着もしていない、
私の部屋は少ない銀色に光る入賞トロフィーに賞状、捨てるのがおしい雑誌の数々、アドレス、
私は君に嫉妬していた。

君の部屋に行くと、数日前まであったものすべてなくなっていた。
いや、君自体いなくなった、
だれだっけ君って、
存在までなくなってしまった。

少しだけ閉め忘れたカーテンの隙間から、日光が帯の様に伸びていてトロフィーがきらきらと光っていたことは印象的だった。


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