入賞トロフィー/モチヅキゼロ
手が汚れたら手を洗うのと同じように、君は身の回りのものを捨てる。
私はそれと同時に、美容院で夏に傷んだ毛先をケアしてもらう、
ある人はカラオケに行くのかもしれない、
またある人は衝動買いをするのかもしれない。
君の身の回りにあるものは、何もない。
数日前まで、ぬいぐるみと卒業アルバムと小中高の絵のコンクールに入賞したたくさんのトロフィー、
あとは覚えていない。
捨てるものの比率が多いだけだよ、君は言う。
多すぎだ、明らかに、
携帯電話がぴかぴか光って、うなった、
これも捨てないとと聞いたのは、秘密だ。
自分の部屋を見た瞬間、それはまるで、真っ白なハンカチに色のつい
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