「秋のわかれる」/月乃助
置き去りにされた
残骸の片方だけ残る後輪に
硬質ゴムの黒いよごれは、
動くことのない平衡を失ったもうひとつを捜してた
均等に働く両足の仕事のようにもとめあう
互いを見ることもなく、罵り合うように音をたてる
タイヤたちならばなおさら それでいて、
支えあい、全く疑うことがない大地へのはんぱつ
重い車体を駆けさせる力を熟知する
= クウォン = クウォン = ウォン
シャフトの上下する п》》》
― いつまでも鳴りやまずに…いる
それは、確かに
調和のなかにあるはずのふたりが
想いやりながら 言葉をかわさず
愛をなすりあう姿に 違いないのに、
悲哀や歓
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