革命の鐘が鳴ったよ/なかがわひろか
今朝は朝から革命の鐘がうるさくて
もっとゆっくり眠っていたかったのに
カーテンを開けると町はすっかり革命気分で
至る所で革命が行われていた
昨日まであったはずの赤いポストには
何かの象徴のように白いパスタが乗せられていて
僕は嫌でも革命が起こった事実を知らされるはめになった
やがて僕の部屋にも革命が訪れて
淹れたてのコーヒーなんかが
テーブルの上に置かれていたりする
僕はコーヒーが飲めないんだけど
仕方ない
革命が起こったのだから
僕は渋々真っ黒なコールタールのようなコーヒーを胃に流す
意外においしくて
革命も悪くもないもんだと
もう一眠りしたくって
僕はカーテンを閉めて
革命を部屋から追い出した
今日はもう少しだけ眠っていたい
革命はそれからでも遅くない
(「革命の鐘が鳴ったよ」)
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