双眼鏡と虫眼鏡/モチヅキゼロ
 
嘘を見抜こうと思い、双眼鏡を買いました。
あれは夏でした、高校野球の実況が心地よく聞こえて、
アイスキャンディーを持っているだけで溶けてしまう気温28度、
アスファルトの上に立つ。

双眼鏡で見て、愕然とし、コンタクトレンズがずれたのです。
ぼやけて見えない、
しなしなになったひまわりは律義に太陽を見て、
百葉箱は今何度をさすのか。

嘘がぼやけないように、虫眼鏡を買った。
嘘は良く見えて、頭が狂いそうだった、
実はへそくりをたんすの二番目に隠しています、サラ金からお金をかりています、公園であと何時間過ごせばいいんだ、コンビニ強盗でもしようか、
この真実を虫眼鏡で燃やしたくなったのです。

怖くなって、虫眼鏡と双眼鏡は公園で遊んでいた子供にあげた。
翌日のニュースで、コンビニ強盗二万円盗むなんてニュースが飛び交っていた、
ビブラートと蝉の声。

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