遠い記憶/
小岩井祐子
どれだけ考えても
記憶の深くを探しても
みつからないのです
あなたの声が
あたしはもう
永久に
喪ってしまったのでしょうか
あなたのしぐさや
あたしにくれたことばは
こんなにも鮮やかに
思い出せるのに
どうして
その時紡がれたはずの
色や
香りは
出てこないのでしょうか
それはあたしに
ひどく
かなしく
のしかかってくるのです
せめて
笑い声が
聞こえるならば
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