腕/巧
った。
僕は泣いた。
それから僕は腕を切らなくなった。
腕を切らなくても認めてもらえる。
僕は綺麗なままだって認めてもらえる。
そう感じることができたから。
でもそんな思いは長く続かなかった。
恋人は僕の元を去った。
他に好きな人ができたのだと言った。
僕は腕のせいだと思った。
だって腕の生えてるやつとまともな人だったら
誰だってまともな人を選ぶ。
恋人の選択は自然なことなんだ。
この腕のせいで。
こんな腕があるせいで。
僕はまた腕を切り落とすことにした。
でもしばらく切らないうちに
腕は大きく成長していた。
簡単には
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