ユニゾン(仮)/中原 那由多
用途のない部品を大量生産
食い止める為にはまず
近所のシャッターが閉まる音を聞かなければならない
行き過ぎた妄想がまるでアルコールのようで
ガチャン、と目が覚めたのが少し笑えた
擦りむいた手首がヒリヒリと痛いから
オロナインH軟膏で優しく塗り潰す
白く苦いノスタルジア
固まった頃に新たな命が生み出される
触れてはいけない夜の嗚咽
半透明な人
ちゃんと目を見て話せないのは
知ったかぶりへの罪悪感
令嬢への恋い焦がれに似た
欲望から分化した心理学
ただ自尊心に固執する
迎えを待っている娯楽の途中
落とされた指輪を拾っては
すぐにポケットに突っ込んだ
芝居がかった夢うつつ
全く、我が儘なのはどっちだろう
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