融和する嘘/ゆるこ
 
臨界点に到達する前に
呼吸を荒げた影が囲う
優しい箱庭に
わたし 今日もだまされながら
小銭を投げ入れ続けている

あまりに夜の香りがするの
目をつむりながらログオフする
そのシャツの汚れになりたいと
願っている、




音は最高のオカズだと
マントルを秘めた瞳で囁くから
わたしのヘッドフォンは
いつしか音量が動かせなくなった

等間隔の道を歩いていても
蛇行してしまう
きみの嘘になりたいと
うさぎが鳴いた





ピッチが少しずつずれていく
FMラヂオが聞けなくなる
わたしのなかの
放物線状に並んでいる
人間みたいな
思考や
概念や
う そ が

日曜日に食べられていく



(手帳を開けば
右はじだけ、真っ赤


)


きみの嘘に鳴りたいと
うさぎが鳴いた
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