「虹の旅人」/
月乃助
くこともできない
美しくあり続ける 色の集積のかげろう
まばゆい 悲しみのむこうにあらわれるのは、
そんなしごとを かせられた
亡くなったものたち
せつなく わずかに開いた
暮らしのはざまへ
すべりこんでくる
あらわれるのなら いつも
うれしくなるのは、時のもたらす
薄れる痛みに濾過された 綺羅だけが
よどみをしらぬ残滓となって 残される
それがためらしい 思い出の国から
さまよいくる旅人の
小さなすがたとなって
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