秋から冬へ/ふくだわらまんじゅうろう
 
俺がどんなに愛していても
おまえをしあわせにはできないのさ
この不器用な渡り鳥
おまえの聴きたい音なぞ出せない
松脂だらけの指板と弦と
おまえの尻にもう一鞭
雪が溶けたら迎えにゆくさ
雲雀の歌声でも添えて

おまえには家族も
故郷もある
そこには古い友人も
幼馴染もいる
そして温かい御粥もある
だのにどうして
おまえは何故

そこにある孤独に
ひとは誰も気づかない
だからこそ要らぬ欲に駆られ
転落の甘い汁を啜ろうと奔走する

俺がどんなに愛していても
おまえをしあわせにはできないのさ
この不器用な渡り鳥
おまえの聴きたい音なぞ出せない




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