あさい眠りの/orchid/月乃助
典麗の色香は、純白の
輪舞する翅が揺れている
無言(しじま)なひろがる花弁にぽつねん
ショー・ウィンドーの森の囲いにたちんぼが、
哂い声をあげた夢は、
苔むした褥を足にして
胡蝶の眠りから覚めていく
咲きみだれる、夜のいとなみに疲れ
照らされ蒼ざめたまま
誰もが指をはわしては、
あかりの尽きぬ眠られぬ 蒼茫のベッド
傾ぐほどの 細い身をささえ
いまだに剛毅に たちすくむ
荒れ野にJのさかさ文字
おしろいなど要りようもない濡れた肌は、
みつぐものを悦ばす緑に縁取る紅に、
ちぎれ堕ちる花弁の時がめぐりくる
心待ちする誰もに こたえ返しながら
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