うずく、まる。/夏嶋 真子
{引用=うずくまる。
からだの表面積をちいさくして
世の中の37%を遮断する。
わたしのまるいふくらみと
わたしのしろいふとももをくっつけて
ひとつ。にすると
やわらかな鼓動を感じて
わたしがまあるくなっていく。
星とわたしが同じになる夜
えらいひとがいいました。
わたしを殺さないものは
わたしをより強くするって。
さっき拾ったカラスの目玉は磁器製でした。
木曜の光が角膜を破り
曖昧な手触りで新しい像を結ぶ。
カラスは瞳の奥で
本当の黒にはなれないまま
「愛せよ。」と命じているね。
滲んでは透きとおるこの夜の闇が
本当の黒だったらいいのに。
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