Lavender/香気/
月乃助
う
折れるほどに長い小さなバトンたち
夏を享受したそれが、
葉緑の 若さのなかに
紺碧色を洗いながしては、枯れていくのです
逝く時だからこそ 熟れきったオレンジのように
芳醇な香を放って
人をつかんでは、はなさない
さびしい雨のにおいを 押し分けてくる
蒼茫から舞いたちのぼる 最後の
剛毅なかおりが、
秋をつつみこんで
あなたへの想いのように つきまとい
わたしをそこから けっして
はなそうとは、
してくれないのです
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