折り畳み傘もない雨降りに想ふ/百瀬朝子
 
堅実な日々は
けっして実りがあるわけではなく
ひどい仕打ちを受けることもあるでしょう
  ex.
  微塵の雨の覚悟を持たぬ日の
  折り畳み傘も無い晴れの日に
  不意のどしゃぶり
  身近で轟く雷鳴
  悪戯に跳ねる泥まじりの水たまり

それでも許してあげましょう
この身を濡らす雨粒は
わたしのなまぬるい体温で
乾いてゆくのですから
生きている歓びには
代えられないと思うのです

戻る   Point(4)