お月見の夜 /
服部 剛
夜の公園で座敷を広げ
若者達は楽しげに
互いの盃を、交わしてた。
「あ」
ひとりが真っ赤な顔で立ちあがり
いつのまにか、山間に
ひょっこり顔を出していた
まあるい月を、指さした。
彼等は揃って顔をあげ
鰯になって口をあけ
賑わっていた座敷の上に
ひととき静寂が、訪れた。
闇夜を照らす、あの月は
万葉人の涙を誘い
人のこころの鏡に映ります。
ましろい顔の、あの月は
ずっと遠い古代から
今も何かを、語っています。
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