限りある世界で嫉妬する/渡邉建志
瞼でシャッターを切る。
そして一瞬を切り取る。その一瞬の前も後ろも死だ。
鳩が空を横切る瞬間、シャッターを切る。
切った瞬間の沈黙は永遠に続く。
そこに彼女はいない。
いないのに切実にいる。
明日にも自殺しそうな切実さで。
投げやりなほどのスピードで、
彼女も言葉も駆け抜ける、
前も後ろも死の、その一瞬に。
+ +
君が手打ちしただろう<hr>タグのこと、
いかに君がそれを打ったかについて考える
鳩の真下を眺める
限りある世界で嫉妬する
というだけの言葉を置いて、自己紹介にもならない自己紹介とする。
置いただけ。
それで何が悪いんだろう。僕が目指しているのはまさにそこだ。
そこに墓標があるように、
その空間にそのフレーズしかない。
限りある世界で嫉妬する。
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