golden plums/家路/月乃助
心待った家路の果てに
ゴールデン・プラムの たわわな枝の
くちびるを這わす 実は あまく
ちっぽけなあたしを待っていて くれる
鳥たちを 楽しませないために
そう ジャムにしよう
いつもそうした あの頃のように
数えられぬほどの 実を摘んで
乳房のように 驚くほど
やわらかな果肉の 黄金色のプラムを煮詰める
温かな 香をもたらす木から
鼻のまがることのない 白魔術の
魔女のように 陽気に
緑に染まり 実をさぐる
枝のまに かくれる
あなたのはにかむ笑いを そっくり瓶づめにして
長い梯子の先に そしらぬ人の顔でたつ
青空に手を伸ばして こっそりと
いつもうとうと 昼寝にまどろむ プラムの樹から
気づかぬように 子供たちを盗んでしまおう
それが、許されるなら
あふれる想いを 閉じ込めて
あなたと わたしのため
とろける甘さに 花の
輝く蜜のような ジャムを作ろう
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